教育

知的生産その5「授業」〜一個人の、知的生産・タスク管理の技術15〜

「授業」を組み立てるときにも、頭をはたらかせます。生徒にわかるかたちはどういうものを、どういう順序で、どういったように伝えたらいいか、を。 ただただ考えるわけではなく、段階によって少し考える方法や用いるものがかわってきます。 章ごとに 数学の教科書は、数学を伝える単位として、内容ごとに「章」や「節」に分かれています。新たな章に入るときに、その章全体のロードマップを思い描きます。もちろん、高校には定期考査というものがあるので、考査によってその「章」や「節」は分断されるのでそれも考慮に入れつつ、最終的な目標と、そこに至るまでの道筋を考えます。 ここで用いるのが、紙とペン。iPadとApple Pencilで ...

知的生産その1「知的生産とは」〜一個人の、知的生産・タスク管理の技術11〜

タスク管理についてはひと段落したので、今後は知的生産について考えていきたいと思います。 知的生産 「知的生産というのは、頭をはたらかせて、なにかあたらしいことがら──情報──を、ひとにわかるかたちで提出することなのだ」 『知的生産の技術 (岩波新書)』(梅棹 忠夫)において、知的生産は上記のように定義されています。ぼくも、この定義のもと、話を進めていきたいと思います。 では、実際にぼくの環境で、置かれた状況で、活動の中で「知的生産」と言える部分はどこか、というのを考えてみますと、このブログも仕事でおこなっている日々の授業も、仕事の一つ一つにおいても、知的生産の要素を多分に持っているなーと感じます。 ブログは ...

アイデアは、実行してみると想定とは違ってくることは多々あるものの、だからこそ書き残しておいて実行に移してみたくなる

Scrapboxでブログを書いてみるのはどうか?というメモを、2年以上前にしていた。 文章を育てながら、適宜リンクをつけていく。と、そのリンクに紐付けされている他のページが画面下部に表示されていく。そこから新たな着想を得ながら、書き進めることができるんじゃないか、と思って。 今、ブログのほとんどを、Scrapboxで書いている。ブラケット「[]」でリンクをつけて、ページ下部に表示される関連ページを利用して書く、なんてことはまったくしていない。 確かに、ブラケットによってリンクをつけながら書いてはいるけど、下に表示されるページはほとんど参照していない。 詳しく説明するタイミングでない事柄なんかをリンク化 ...

「考える」ときに、本から学んだ知識が役に立ちそうな時がきっとある

どうやら、仕組みや仕掛けを「考える」ことが好きなようだ、と気づいたのですが、考えるときには、読んだ本がやっぱりすごい参考になるなーと思った話です。 ぼくは、生徒に数学の力をつけてもらいたいなーと考えてるわけです。論理的に考え、組み立てられるようになって欲しいなーと。いわゆる論理的思考力というやつです。 生徒の力を伸ばしたい、能力を身につけて欲しいわけです。 で、これが今読みかえしている本、「『超一流になるのは才能か努力か? (文春e-book)』(アンダース・エリクソン,ロバート・プール)」と結びつきます。 「超一流になるのは才能か努力か?」には、人の力は伸ばせること、脳を変化させていくことができること ...

本から勇気づけられることって、すごくあると思う〜アドラー心理学について10〜

アドラー心理学は、人の変化を後押しする考え方で、後押しのために「勇気づけ」というアプローチを用いる。 アドラー心理学の「勇気」という言葉を狭ーく捉えれば、「困難に向かおうとする活力」と言えると思う。 「事実」を知ることが、勇気づけになることがある。 『マインドセット「やればできる!の研究』(キャロル・S・ドゥエック) 『超一流になるのは才能か努力か? (文春e-book)』(アンダース・エリクソン ロバート・プール) 『究極の鍛錬』(ジョフ・コルヴァン) これらは、努力次第では自分の能力を伸ばしていける、ということを、その事実を教えてくれる本。 難しいなー、できるかなー、大丈夫かなー。そう思いつつも、それに立ち ...

便利で使える心理学 「アドラー心理学によるスクールカウンセリング入門」を読んで感じたこと〜アドラー心理学について⑨〜

MM読了『アドラー心理学によるスクールカウンセリング入門』(深沢 孝之)という本を読み終えました。 本書は、アドラー心理学の考えを、スクールカウンセリングに用いて、学校生活で悩んでいる児童生徒や、その担任の先生に対してどうサポートしていくのか、の実際例が書かれています。 本書を読んで、アドラー心理学は、他者や自分を一歩前に進むよう促すために便利な心理学だ、という思いを一層強めました。 もちろん、勇気づけというアプローチがその主なものなのですが、他にも色々とアドラー心理学の考えを使って、スクールカウンセラーの方々は児童生徒・教員と向き合っていることがわかります。 いくつか、本書から引用します。 p21.私た ...

理解しちゃっていても、まだ理解に至らずうんうんと頭を悩ませる状態をイメージできるか〜M-1グランプリ 2019の「かまいたち」の漫才を見て考えたこと〜

M-1グランプリ 2019の「かまいたち」の漫才。決勝でやっていた、トトロを見たことがないことを自慢しているという内容の漫才。 トトロをすでに見たことがある人、見てしまっている人は、見ていない状態には戻れない、というやつ。 そうやよなぁ。 トトロをすでに見たことがある人、見てしまっている人は、見ていない状態には戻れないように、 キャッチボールをうまくできる人は、はじめてキャッチボールをした、まだうまくできない状態にはもう戻れない。 何かを学んで理解した人は、まだ理解できていない、うんうんと頭を悩ませたときには戻れない。 とはいえ。 人に何かを教えるときには、まだ理解できていない人に対して、理解できるようサポー ...

的を絞っての勉強に切り替え。まずは、微分方程式(数検1級合格まで(8)12/15-12/21)

数検の勉強 12/15-12/21 1週間の勉強時間:2時間32分 21.7min/day 微分方程式を勉強中。マセマの少し古い参考書を説き進めてる。 微分方程式については、はじめて勉強するので、新鮮で、微分積分の復讐にもなって楽しい。 使っている問題集 ブログ書き書き 今週書いたの 12/16→「メモの掘り起こし」をして、ホコリかぶっているメモをスタンバイ状態に 12/17→2019年、出会いは少なかったけれども、良い出会いが多かったように思います #mybooks2019 12/18→「どのようにすれば他者が自らを動機づける条件を生み出せるか」〜「人を伸ばす力」を読んで学んだこと〜 12/19→なぜ「自らを動機づける条件を生み出せるか」が重要な問いなのか? 12/20→本を読む ...

なぜ「自らを動機づける条件を生み出せるか」が重要な問いなのか?

動機づけには、自分の内側から起こる内発的動機づけと、外部から報酬や賞賛による外発的動機づけとがあります。 先日紹介した、『人を伸ばす力』(エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト)において、外発的動機づけの限界とも言える部分が語られています。 p69.人が報酬を得ることを目的として行動するようになると、その行動が続くのは報酬が与えられているあいだだけになる。 これは、報酬に依存してしまうということに他なりません、 賞賛や承認も、報酬になり得ると思いますが、それもまたまずいことも本書には書かれています。 p22.報酬は行動の出現率を高めるかもしれないが、それは報酬が提供され続ける範囲内での話である。 p1 ...

「どのようにすれば他者が自らを動機づける条件を生み出せるか」〜「人を伸ばす力」を読んで学んだこと〜

『人を伸ばす力』(エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト) 教師が生徒の成長と関わることができる期間というのは、高校では3年間。 生徒の一生に比べれば、”わずか”3年間。 では、この3年間でできることはなにか、何を目指して、目標として接していくのが良いのか。 そういう視点で考えると、テストの点数を上げることでも、細かな校則を守るよう指導することでも無いように思えてきます。 強制的に何かをするように統制するなんてもってのほか。 じゃあ、統制的ではなく、物事に自分から取り組むよう動機づけていけばいいのか。そこを目標とすれば良いのか。 それもやはり違う。 こちらからの動機づけを必要とするのであれば、高校生活の3 ...