「どのようにすれば他者が自らを動機づける条件を生み出せるか」〜「人を伸ばす力」を読んで学んだこと〜
『人を伸ばす力』(エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト)
教師が生徒の成長と関わることができる期間というのは、高校では3年間。
生徒の一生に比べれば、”わずか”3年間。
では、この3年間でできることはなにか、何を目指して、目標として接していくのが良いのか。
そういう視点で考えると、テストの点数を上げることでも、細かな校則を守るよう指導することでも無いように思えてきます。
強制的に何かをするように統制するなんてもってのほか。
じゃあ、統制的ではなく、物事に自分から取り組むよう動機づけていけばいいのか。そこを目標とすれば良いのか。
それもやはり違う。
こちらからの動機づけを必要とするのであれば、高校生活の3年間が終わってしまえば、もう動機づけられなくなってしうわけで。
確かに、動機づけられて何かをおこない、そこから学び、知識を得て、それが糧になるということもあると思います。けれども、もっと良いのは、自分で自分を動機づけることができるようになること。
そうなれば、自分で歩んでいきやすくなる。
他者からの動機づけに依存せずとも自分で取り組んでいけるように働きかけることができれば、一番いいよなぁと思うんです。
本書の序盤には、こう書かれています。
p12.正しい問いは「他者をどのように動機づけるか」ではない。「どのようにすれば他者が自らを動機づける条件を生み出せるか」と問わなければならない。
この問いへの、より良い答えの考察が、本書を通して述べられていきます。
その内容は、驚くほどにアドラー心理学と呼応します。
具体的にどうすればいいかについても書かれているものの、アドラー心理学でいうところのライフスタイルを変えていくことそのものが必要である、とも感じます。
p199.あなたが為し得る最善のことは、自律性を支援することなのである。…自律性を支援するには、彼らの視点をとれること、すなわち、彼らが見ているように世界を見ることが必要である。
『幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII』(岸見 一郎、古賀 史健)では、相手を尊敬を示す第一歩として同じことが書かれています。
まずは、尊敬からはじめよと。
絶えず、尊敬の眼差しで相手と接すること。
p279.真の自律性は、他者への尊重を忘れない。
「真の自律性」が求められている、ということです。
まだまだまだまだ道のりは長そうですが、自分自身が自立できるようになっていきたいな、と思う今日この頃です。
では、お読みいただきありがとうございました。