アドラー心理学

原因のせいにせず、良くしていくためには?を考える〜アドラー心理学について⑧〜

アドラー心理学の本を読んでいると、徹頭徹尾よりよく生きていくには?建設的に生きていくには?が考えられているな、と感じる。 その考えは、絶対ではない。ただ、「こうしたほうが、こう考えたほうが、こうとらえたほうが、良くなっていくことができそうやよね?」という提案。 あらゆる物事に、どう意味づけしたほうが、良くなっていけそうか。 その一つが、原因のせいにしない、という姿勢。 人は、いろんな物事をなにかの原因に持ち出しすぎている。 基本姿勢として、原因をさぐる。こうなったのは、あれが原因や、と。 思考の基本が原因論やと、悪いあなた、かわいそうな私に終始してしまいがち。 「あれのせいでこうなった」と考えると、悪いあな ...

「変われないの」ではなく「変わらないと決断している」という視点に立つ〜アドラー心理学について⑦〜

「『嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え』」のはじめの方は、「僕」が変われないと話すところからはじまる。 「『性格は変えられる (アドラー心理学を語る1)』」でも、性格は変えられるよ、という話から入る。 「変われるかどうか」は、アドラー心理学に足を踏み入れていくはじめの話として、よく用いられている。 アドラー心理学は、人は変わる力があると信じつつ、でも、変わることへの恐怖は強い、とも思ってる。変わることは、それまでの慣れた、安定した今までの世界を捨てて、慣れない先がわからない不安定な世界へと足を踏み入れる行為やから。 怖いから、変わらないでいる言い訳に劣等感が使われることがよくある。 自分は ...

劣等感と劣等コンプレックス・優越コンプレックス〜アドラー心理学について⑥〜

昨日のエントリ、「マインドセットによって変わる、劣等感への対処の仕方〜アドラー心理学について⑤〜」にサラッと挙げた、劣等感と劣等コンプレックス・優越コンプレックスについて。 アドラー心理学の本を読んでいて感じるのは、劣等感は、「できない」「もってない」など、「〜ない」感覚、くらいのものっぽい、ということ。ただ、他と比べて劣ってるなーと感じることで、それ以上でもそれ以下でもない。 劣等感自身は、別に悪いものではなく、ただできてないなーと感じるだけのもの。 やから、誰しもが持ってるもの。 『幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII』(岸見 一郎、古賀 史健)では、人は皆、生まれた時から劣等感を抱 ...

マインドセットによって変わる、劣等感への対処の仕方〜アドラー心理学について⑤〜

「マインドセット「やればできる! 」の研究」での「硬直マインドセット」と「しなやかマインドセット」という視点でアドラー心理学で挙げられる「劣等感」について考えた。 まず、アドラー心理学における劣等感について。 人は、優越性の追求、つまり、人にはもっといい存在になりたいという欲求があり、それがあるから、できていないところが見えてしまい、劣等感を抱く。 その劣等感に、いかに対処するか。 マインドセットが硬直か、しなやかか、という目線で考えてみる。 p13.自分の能力は石版に刻まれたように固定的で変わらないと信じている人ー「硬直マインドセット」の人ーは、自分の能力を繰り返し証明せずにはいられない。 … しなやかな心 ...

しなやかマインドセットと勇気づけ〜アドラー心理学について④〜

人は、変化していける。人間は前に進めないような脆弱な存在ではなく、変わっていける。 アドラー心理学の根本的な考えとして、人間の持つ力への信頼がある。 これは、「マインドセット「やればできる! 」の研究」で挙げられる2つのマインドセットのうちの、「しなやかマインドセット」と同じだろう。 しなやかな心の持ち方、「しなやかマインドセット=growth mindset」である。その根底にあるのは、人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことができるという信念だ。 「マインドセット「やればできる! 」の研究」では、しなやかマインドセットを持っていることが人の成長にどう作用するのかが述べられる。 相手の成長を願うなら、願うもの ...

アドラー心理学は、内発的動機づけ〜アドラー心理学について②〜

長期的な視点を常に持つ〜アドラー心理学について①〜 アドラー心理学で褒めること・叱ることを否定するのは、それは、相手を“コントロール”することが目的にあるから。 これはつまり、外発的動機づけを否定している、ということ。 コントロールのような、外発的な動機づけでは、結局は相手の変化を促すことにはならない。そういう考えが、ある。 実際、人は、コントロール下に置かれると、内発的動機が薄れてしまうらしい。 なので、内発的な動機、つまりその人本来の力を発揮させること・引き出すことが目標であるアドラー心理学にとっては、相手をコントロールは、言わばもっともしてはいけないものとなる。だって、それによって内発的な動機が下 ...

長期的な視点を常に持つ 〜アドラー心理学について①〜

アドラー心理学に出会ってから、アドラー心理学を実践することで、生徒たちに良い影響を与えることができないかと、常にアドラー心理学の教えを念頭に置くようになった。 いくつか理由はあるけれども、その中でも、けっこう中心的な部分について、ピックアップしていきたい。 まずは、アドラー心理学の視点は、長期的であるってことについて。 基本的に、叱ることと褒めることが教育には必要とされているけれども、アドラー心理学ではそれを否定する。褒めたり叱ったりすることの先には、相手をコントロールするっていう目的が隠れているから。 でも、本当に必要なのは、コントロールではない、と思う。コントロールってつまり、教師の都合のいいよう ...

アドラー心理学を教育現場に〜クラスはよみがえるを読んで学んだこと〜

アドラー心理学を知り、いくつかの書籍を読んだのちにこの本を読んだ。 どれほど実践できるかわからないものの、でも、根底にはやはりアドラー心理学の考えを持ちつつ、生徒と接していきたいと思う。 クラスはよみがえる:学校教育に生かすアドラー心理学 人間のもっとも根元的な欲求は『所属欲求』であると私たちは考えています。人間にとって集団に所属する欲求は、生存の欲求よりも強いのです。 人間は強い「所属欲求」を持っている。 その前提に立つと、教室に「競争原理」を持ち込むと、他に勝つことがすなわち所属の欲求を満たすことに、他よりも特別な存在に自分をおくことが所属欲求を満たすための手段になる。 するとどうなるか。 何か得意なこ ...