今年度の授業で試そうとしていること
『子どもは40000回質問する あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力』(イアン・レズリー)にて、少しの知識が好奇心を生む話が書かれていた。
- まったく知らなければ好奇心は生まれようもない。
- 全部知っている、と認識していれば、さらに知りたいという欲求は生まれようもない。
- 少しだけ知っていれば、知識の穴を埋めようと、好奇心が生まれ得る。
また、『脳はこうして学ぶ』(スタニスラス・ドゥアンヌ)でも好奇心について書かれており、
- 好奇心は脳がすでに知っていることと、これから知りたくなることとのギャップを検出したときに生じる
のだそう。
ということは、少しの知識を伝えることと、ギャップを埋めないようにすることがかなり大事ではないか。
で、数学においては、基本的な内容を身につけることが少しの知識を得た状態、と言えるのではないか。
この仮定を真とするならば、基本的な内容を身につけてもらうことに注力すべき、ということになる。
また、基本的な内容が大事であるのが、好奇心以外の面からも言える。
応用的な問題の多くは、基本の組み合わせであることが多い。なので、応用的な問題を解くためにも、理解するためにも、基本的な内容が必要になる。
自分で解くことができなかったとしても、解説を見ているときに、あぁこれはあのことかと納得しながら進むことができるか、全体がなかなかつながっていかないかは、基本的な内容の理解の有無によることが大きい。
では、基本を着実に身につけてもらうためにどうしていくのか。
『脳が認める勉強法』(ベネディクト・キャリー)や『脳はこうして学ぶ』(スタニスラス・ドゥアンヌ)にて、記憶に有効な手法として、間隔学習が言われている。
「Anki」などのアプリは、その間隔学習を機械的に実施してくれるようにするものだが、単語などの記憶するものを対象としている。でも、数学のいろんな事柄に対しても間隔学習は有効ではないか、と考えた。
授業の基本的な組み立てとして、まずは基礎的な内容が大事なので、そこを授業内で取り扱う。また、やった基本的な内容に関しては、間隔学習を利用して、記憶への定着をはかる。
基本を大事に大事に教える。覚えることではなく、理解することを最も重視して。で、間隔学習にて、その理解を定着させるイメージ。
一方で、応用的な問題にも取り組む。基本的なことは大事に、理解重視で教えるが、応用的な問題は教えすぎないように注意をする。基本的な内容と応用的な内容には「基本を利用して考える」ことが求められる。なので、もし間隔学習によって基本が身に付いていれば、応用的な問題に取り組む素地はできていることになる。
ただ、応用はそんな簡単には解くことができず、頭の中にある基本的な内容を駆使しなければいけない。
ここにギャップがある。基本から応用へのギャップ。そのギャップを埋めたくなるような、さらに知りたくなるような課題を設定し、ギャップをこちらが埋めないようにしていくことで、好奇心を生み出していけるのではないか。
自分で、もしくは自分たちで埋めることができるように、サポートする。教えるのではなく、一緒に考えるスタンスがいいと思われる。
- 基本の定着に間隔学習を用いる
- ポリアの問いかけを足がかりにする
というのをベースにして。
次年度取り組もうと思っている一番のキーポイントとなるのは、この間隔学習であると思っている。