便利で使える心理学 「アドラー心理学によるスクールカウンセリング入門」を読んで感じたこと〜アドラー心理学について⑨〜

MM読了『アドラー心理学によるスクールカウンセリング入門』(深沢 孝之)という本を読み終えました。
本書は、アドラー心理学の考えを、スクールカウンセリングに用いて、学校生活で悩んでいる児童生徒や、その担任の先生に対してどうサポートしていくのか、の実際例が書かれています。
本書を読んで、アドラー心理学は、他者や自分を一歩前に進むよう促すために便利な心理学だ、という思いを一層強めました。
もちろん、勇気づけというアプローチがその主なものなのですが、他にも色々とアドラー心理学の考えを使って、スクールカウンセラーの方々は児童生徒・教員と向き合っていることがわかります。
いくつか、本書から引用します。

p21.私たちには、「目指しているもの」があって、それに向かって自分の心身を使っている、という立場です。

この考え方は過去にこだわらず未来志向になり、悪いもの探しより「できること探し」になり、対話が建設的になりやすいという利点があります。

p108.目的は善だけど方法が不適切だと解釈すると、臨床的には介入がしやすくなるように思います。

p109.「言葉を見ないで行為を見る」という視点がアセスメントには使える

p150.様々な事例は一人ではなく、必ず「相手役」との対人関係で発生する行動と考え、その行動の「意味」は、その人の心の中にあるのではなくて、その人と「相手役」の人との対人関係に及ぼす影響から、判断・理解することができると考えるのです。
このような「対人関係論」に立って考えてみると、ある人物の問題行動に対して、その人自身だけの心理的な原因を考えない、あるいは原因探し(=悪者探し)を重視しなくなります。

どれも、アドラー心理学の考えから、それをどう使うのか、使うことでどんな便利なことがあるのか語られています。
アドラー心理学は、「何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うか」に注目するという点で、「使用の心理学」と言われているのですが、同時に、便利で使える心理学でもあるなーと思うわけです。
本書では、児童生徒が主な相手ですが、対人関係全般において、使える考えがほとんどです。
対人関係において、こう考えると建設的に前に進んでいけるよね、という提案ばかり。後ろ向きではなく、あくまでも前に進むために便利な考えがたくさんつまっているのがアドラー心理学だな、と思います。

もちろん、本書は、アドラー心理学のスクールカウンセリングへの応用について書かれていますから、アドラー心理学のこういう考え方・捉え方が実際に便利だ、という話が多くなるのは当たり前と言えます。が、でも、それこそがアドラー心理学の一側面であり、便利な心理学であるという部分を明確に表してくれていると感じました。

アドラー心理学は、常識を覆すような部分を多く持ち合わせており、中には受け入れにくい部分もあるように思います。
が、別にアドラー心理学というものは絶対的なものではなく、あくまでも「こう考えた方が便利ですよね」という提案だととらえれば、いくぶん理解しやすくなるのではないか、と思います。
その点で、本書は、アドラー心理学が全体的にどういったものか把握した後読んでみる本としていいかもな、と感じます。

では、お読みいただきありがとうございました。