アドラー心理学を教育現場に〜クラスはよみがえるを読んで学んだこと〜
アドラー心理学を知り、いくつかの書籍を読んだのちにこの本を読んだ。
どれほど実践できるかわからないものの、でも、根底にはやはりアドラー心理学の考えを持ちつつ、生徒と接していきたいと思う。
人間のもっとも根元的な欲求は『所属欲求』であると私たちは考えています。人間にとって集団に所属する欲求は、生存の欲求よりも強いのです。
人間は強い「所属欲求」を持っている。
その前提に立つと、教室に「競争原理」を持ち込むと、他に勝つことがすなわち所属の欲求を満たすことに、他よりも特別な存在に自分をおくことが所属欲求を満たすための手段になる。
するとどうなるか。
何か得意なことがある者は、それを認められる機会があるけれども、もしそれがないなら。。。
どういう手段をとることになるか。
どうやって他に勝ち、どうやって特別な地位につくか。
また、競争相手は他の生徒に加え、教師もその相手になる場合も考えられる。生徒対教師。
競争原理を持ち込むくらいなので、教師はもちろん生徒に負けてはならないと考えるだろう。そうやって負かされた生徒は、果たしてそのあとどうするか。
どちらの場合も、問題行動が現れるには十分な状態が整う。
というように、所属欲求を前提にすると、クラスに競争原理を持ち込むのはいささかまずいことになる。だから、アドラー心理学では、競争原理を生むような働きかけはすべきではない、と考える。「ほめる」もその一つになるので、ほめてはいけないという方針が立つことになる。
「ほめてはいけない」という言葉だけをきくと、いやいやそんなわけないと否定したくなるけれども、その訳を聞き、考えてみると、論理を重ねた結果に得られる帰結であることがわかる。
アドラー心理学の考えは、常識にとらわれてないがために斬新に感じるし、拒否反応を起こす人も中にはいるかもしれない。
でも、アドラー心理学で語られる、「当たり前でない」言葉の数々は、背景にはこのような論理がしっかりと組み立てられており、当たり前は脇に置いて読むと腑に落ちていくことも少なくない。
個々の問題児とどう接するのかの前に、教室が正常に運営されていることがすべての鍵であることを、私たちは多くの経験を通じて知りました。
アドラー心理学は、普段はあまり持たない視点を与えてくれる。当たり前と思っている、盲点とも呼べるような視点を。
頭で考えていくら正しい方法でも、無効なものは無効なのです。別の方法を実験してみるべきです。それが科学的な態度というものです。
正しい思ってやっていたとしても、他のみんなもやってることであっても、効果がないものは効果がない。じゃあ同じことを何度繰り返しててもらちがあかず、他の方法を考え試してみるのが建設的なのは明らか。でも、固執してしまいがち。
どうしても視線は個に向かいがちになる。けど、個よりも集団へのアプローチを考えてみると、もしかしたら何かしら変化させることのできる一手が得られるかもしれない。
実践のハードルは決して低くない。むしろ、常識とは違うアプローチも多く、ハードルはかなり高いといえそう。
とはいえ、もし今あまり上手くいっていないことがあるなら、これまでのやり方をいったん脇に置いて、別の切り口を探す必要がある。
また、短期的にはうまくいっていそうに見えても、ちょっと先に目を向けるとそうではないこともある。
将来的な自立を目指して。
ぼくにできる働きかけを考え、続けていきたいと思う。
では、お読みいただきありがとうございました。
- 『幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII』(岸見 一郎、古賀 史健) – book scrapbook – Scrapbox
- 『クラスはよみがえる:学校教育に生かすアドラー心理学』(野田 俊作、萩 昌子) – book scrapbook – Scrapbox