小中学校で学んだことをどう復習し、高校数学につなげるか〜新しい授業の形について考える②〜

モジュール授業の目的は、一言で言うと

  • 小中学校の学び直し

とされています。
高校1年生は、モジュール授業にて小中学校で学んだことを学びなおす。なんのために?それは、高校の内容を理解できる、考えていける素地を作るためではないか、とぼく個人は考えています。
実際にやっていなので想像でしかありませんが、小中学校では、導入から工夫し、児童生徒の考えを広げながら授業を展開し、意見をまとめながらに進んでいく中で、理解につなげていく、と言うことをやっているのでは、と思います。これをやっている小中学校の先生は、本当にすごい。
その、時間をかけて、児童生徒の意見を捉えながら授業をし、理解につなげてきた小中学校で、なかなか理解につながらずつまづきのみられた生徒たちが多いのが、本校の生徒。その中で、高校1年生の1年間で、小中学校の内容を全て理解する、と言うのはかなり無理のある話で。
となると、到達点を「理解」に置くとかなり厳しいものになるなぁ、と思ったので、問題を「解けるようになること」を目標にしようと考えました。しかも、全ての内容ではなく、主要な部分、扱う部分に絞って。
もちろん、理解もして欲しい。けど、一気に理解することもあれば、何度も何度も取り組む中でわかってくることもある。
どこかしらで数学が嫌になってしまっている場合、取り組むこと自体が嫌になっている場合も多いので、解けるようになることでそこを突き崩す、と言うのが狙いです。

1年間で小中の内容を全て理解するのはかなり厳しいし、全ての内容に触れることすら難しい。
じゃあ、やる内容を絞りに絞って、高校で扱う題材に出てくることのみにしてしまいたいな、と。
で、それらを理解することが目標ではなく、とりあえず解くことができるようにしたい、と。
その、絞りに絞った内容を「全部やる」ように、全部できるような授業形態にしたい、と。
で、生徒に要求するのは、絞りに絞った内容を、「解けるようになる」こととして、高校で扱う数学につなげることはできないものか、と考えました。

加えて、本校の生徒は、結構休むし遅刻します。となると、受けている授業が飛び飛びになってしまいます。
理解を積み重ねていく教科である数学にとって、内容が飛び飛びになってしまうのは、進んでいく上でなかなかに厳しい課題でして。前回の内容を前提として今回の授業を行うことがほとんどなので、1回でも抜けてしまうと結構痛いわけです。
なので、なんとか休んだり遅刻で抜けた授業も受けさせたい。でも、一斉授業で進度を固定してしまっていたら、一人一人の進度には対応できない。みんなが毎日休まずきてくれればいいけれども、それはなかなか期待できない。
そう言う生徒であっても、理解を積み重ねていけるような授業の形態はないものか、と考えました。

遅刻・休みがちで授業がポツポツ抜けてしまい、ちゃんときてみたら授業が分からなくなってしまっている生徒。
毎日きてるけど、数学が苦手でもはや今やっている内容がちんぷんかんぷんな生徒。
それらの生徒でも、絞りに絞った内容に関しては「全て解ける」ようにならないものか。

と言うことを考えた結果、「完全個別進度の授業」がいいのではないか、という結論に至りました。

一人一人の進度がみーんな違う授業。
授業を休んだとしても、休む前の続きから学ぶことができる授業。
苦手な部分があれば、わかるまでじっくり時間をかけられる授業。
とにかく、自分のペースで学習を進めることができる授業。
それらを実現する、「完全個別進度の授業」です。

完全に個別の進度に対応する、となると、教員の数が決定的に足りません。
現状は、70名を3クラスに分け、教員3人でそれぞれのクラスで教えていのですが、完全個別進度となると全体での講義ができないので、一人一人に対応する必要があり、それは3人の教員では無理のある話で。

そこで昨年度の年度末にぼくが提案してみた授業は、

  • ビデオ教材を活用し、全生徒が進度を自分で決められる、完全個別進度の授業にする

というもの。
この考えに至ったのは、もちろんいくつかの理由があって、

  • 目的は、「全ての生徒が、定められた内容を全部やる」こと。
    • 授業を休んだとしても、全部やる。
  • となると、全員の進度が違っていることに対応しなければいけない。
    • 毎日出ている生徒は昨日の続きから、休んだ生徒は前回の続きから、ってのに対応できなければいけないので。
  • 生徒が進みたいだけ進めるようにすればいいのではないか。
    • 完全に個別の進度になる。完全個別に対応できるような形態をデザインする必要がある。
    • ビデオの力もかりるのはどうか。幸い本校には、生徒が使えるPCがある。

ということを考えての、「ビデオ教材を活用した、完全個別進度の授業」という案。

前で先生が黒板を使って教える、というスタイルとは全く違って、実際やってみたらどうなるか読めない部分が大きく、導入には慎重にならないといけないと思います。が、真剣に検討してみる価値はあるのではないか、と考えております。

再度数学科の先生方に提案をして、全員で授業の改変について真剣に考えているところです。

では、お読みいただきありがとうございました。